織物や編物をつくるとき、形状変化をつけてみたいと思ったら、意匠糸を使ってみるのも一手です。絹は比重が重く上がりがちですので、糸に膨らみを持たせる意味でも有効です。大別して紡績メーカーで精紡時に作ってしまう「紡績ファンシー」(スラブネップ糸は除く)と撚糸工程で作る「意匠撚糸」とがあります。「意匠糸(1)」の主な種類は以下の通りです。
(巻糸)カバーリングの要領で作る絹独特の糸で、太く甘撚の糸や篠(しの)に細い生糸や絹紡などを巻いたもの。太番手ながら柔らかな風合いのスラブ糸が特長。
(カベ)太糸に下撚りをし、細糸を引き揃えて撚り戻すと、細糸を軸に太糸が螺旋状に絡み、波打ったような形状になる。通常のストレート撚糸よりも1〜2割増の番手になる。
(リング)カベよりもさらに波(山)が高い。芯糸を軸に、浮糸に送りをつけて絡ませ、
細糸で抑えてスリップを防ぐ。ギザギザがシャリ感を持つので、細番で春夏用に適。
(ブークレ)細目の芯糸に強い張力をかけて徐々に繰り出し、太目の浮糸は送りを存分につけ撚り合わせると、余計に送り出された太目の糸はわなを作る。これに抑え糸を撚り合わせる。
(ループ)ブークレの送りを多くし、輪っかが大きな丸になればループヤーンとなる。
(ノット)ストーレート形状の中に小さなこぶのように固まった粒状の部分がある糸。
(ヒゲ)強撚糸に送りをつけると、スナール(ヒゲ状の角)が出る。それを定間隔で出した糸をヒゲカールと呼ぶ。また網糸といって、漁網状のネットを作り、染色糊付後に賽の目の中央をカットするとヒゲ糸になる。こちらは高価なため、和装の飾り糸部分使いにされる。
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