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まず絹糸の山ほどある長所よりもいくつかの短所を知って下さい!!

Point(T)湿摩擦に弱い

とにかく絹はできるだけ濡らさんことです。 染色された絹糸や絹織物は、精練工程を通ることによって、セリシンを除去しほとんどがフィブロインばかりになっています。(セリシン、フェブロイン→)生糸でも絹紡糸でも紬糸でも全てそうです。

このフィブロインってえやつは、一本一本の繊維は強いのですが、その繊維の束ン中に水が入り込みやすく(それが保湿性、保水性の良さでもあるのですが)、細い細い一本の単繊維に割れてしまい、そこで摩擦されると繊維一本一本が切れてケバケバになってしまうって訳なんです。

他の繊維ならそれでも良いのかも知れませんが、何せ表面の光沢感あっての絹です。台無しになってはトホホです。また、染色堅牢度においても最も弱いのが湿摩擦堅牢度です。(反応染でも赤系統など)色によっては2-3級程度が限界だったりします。(絹は低染色堅牢度?→)とにかく、できるだけドライ表示にし、手押し洗いの場合でも、ウオッシャブル加工→など(後述)を付与したもので対応すべきです。

Point(U)黄変しやすい

黄変の原因は紫外線、高熱、酸素の三つと言われています。140度以上の高熱は、アイロン時に気をつけることで防止できますが、光と酸素は完全に遮断することは困難です。ですので、特に淡色の絹製品には、黄変を遅らせるために、以下の事柄に気をつけて下さい。

@ 蛍光漂白をしない 蛍光漂白は紫外線を吸収し黄変速度を速めます。(蛍光染料も)
A アイロンは115℃の低温で当て布(温度設定に絹の表示があればそれに従ってね)
B 洗濯はドライが望ましいが、水洗い洗濯の場合も中性洗剤を使うこと。(石鹸、塩素系
漂白剤は厳禁)陰干し。
C保存時は光のささないところに、酸素と湿気の少ないところがベスト。食品包装によく使われる脱酸素剤や吸湿剤を使われるとなお良い。

Point(V)長繊維はラウジネスを紡績糸はピリングを起しやすい

甘撚の長繊維は(T)でも説明したとおり、一本一本の繊維に割れやすく、フィブリルが毛羽立ち、絡み合ってラウジネス(表面が毛羽立ち乱れる)が起こります。

絹の紡績糸は繊維の平行度が高いため、外部からの摩耗に対してスーっと繊維が起きる状態になります。両方とも、光沢風合いを無視して、強撚にすればある程度解決しますが・・・。

Point(W)糸によって収縮率、伸度などの基本性能が違う

生糸のように沸水収縮率が低く伸度の無いもの、柞蚕絹紡糸のように収縮率が高く伸度の大きいもの、などニット向きや織物向きなどの区別がありますので、適品を使って下さい。

Point(X)虫害に弱い

高級なものほど繊維がやわらかく、たとえばカシミヤやウールのセーターを虫にやられてしまったという方も多いはず。絹は羊毛、獣毛ほどではありませんが、虫除けには充分留意しなくてはいけません。特にヒメマルカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ、イガ、が三大害虫。

シルクの場合、セリシンが残っているものが特にやられやすい。その食害量の差は練り絹(精練した絹)の20倍程度にもなりますが、練り絹でも被害を受けます。 必ず保管場所には防虫剤(市販のもので可)を充分に使って、昇華する前にこまめに取り替えてください。

Point(Y)価格が高い

確かに綿やウールや麻と比べても高いのは仕方ありません。でも、全てがそうとも限らず染色後の生糸撚糸はカシミヤよりも安く、繊度が細いのでmあたりの単価は却って綿やウールより安かったりします。中には紬糸のように初めっから安いものもあるのです。

価格の高い理由はもう一つ。絹の染色には、精練の後に染色しなくては良い発色が得られず、染色工賃が他繊維と比べて高いこともあげられます。

最低限以上のことだけを忘れないで下さればバッチリです!


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